「武州正藍染ここにあり!」 野川染織工業に迫る。vol.1

ども!尊央です!

先日、無理を承諾して頂き武州正藍染の、

野川染織工業さんに見学の機会を頂いた。

藍の色の違い、藍のニオイ、工場に響きわたる織機の音、職人さんの表情、 藍の感触。

ものづくりが実際に行われている現場にいかなければ感じることが出来ないものに五感で触れて、

ワクワクが止まらず、胸が熱くなった。

野川染織工業の武州正藍染を知って欲しい。』

その思いを胸に、vol.1 vol.2 vol.3の3回にわたって、

実際に見たことや感じたこと、担当してくださった5代目野川雄気さんとの話をもとに野川染織工業について本気で発信する!

目次

野川染織工業の魅力!

魅力①武州正藍染へのこだわり!

魅力②糸染めから織り、縫製までを自社で完結!

魅力③武州正藍染を日常生活と結びつけている!

野川染織工業には他にはない、大きく3つの魅力が詰まっているように思う。

この記事を最後まで読み終えたとき、

「まるで工場見学をしたようだ」

「武州正藍染に触れてみたい」

そんな気持ちになるはずだ。

魅力①武州正藍染へのこだわり!

野川染織工業では武州正藍染の伝統を徹底的に貫いている。

機械に頼ったり、合成の藍を使うことも出来るのに、伝統を貫く。

このこだわりが、

野川染織工業にしか作れないものを生み出している。

武州正藍染について

これぞ青縞!!

定義:天然の植物の藍を原料に使い

糸を染めて生地に織っていく

工程を有しているもの

青縞(あおじま)

縦・横糸も天然藍で染める無地の単物。

縦糸も横糸も糸を藍で染めるため、

1本1本染まり具合が微妙に違う。

使っていくと色が変化し、染まり具合の微妙な違いによって

無地なのに青い縞のように見えることから青縞と呼ぶ。

天然藍で糸を染める

伝統ある武州正藍染を昔と変わらぬまま貫いているのは野川染織工業のみだ。

なぜ伝統を貫くのか

理由① 天然藍が持つ、色以外の魅力を伝えたい

理由② 使いこんだときに他にはない美しさがある

理由①

天然藍が持つ、色以外の魅力を伝えたい

つい、藍というものは色の美しさばかりがフォーカスされてしまいがちだが、

天然藍には植物の藍が持つ本来の魅力がある。

本来の魅力。それは、抗菌・防臭効果である。

この色以外の本来の魅力に「天然藍を使う」ということにこだわり続ける理由があった。

原料となる植物、蓼藍(タデアイ)

藍は生きもの

天然藍は管理がものすごく大変」だと、

担当して頂いた5代目 野川雄気さんは言う。

なぜなのか?

藍は生きもの』

言葉のとおり、藍はまるで生きもののように変化するからだ。

写真をみて欲しい↓↓

写真は藍液が入っている甕(かめ)である。

この甕が野川染織工業には10個以上ある。

1つ1つの甕で”全て”藍液の年齢が違う

写真の1番手前の甕が最もお年寄りの藍液。

この藍液で染めると一番明るく染まる。

一番お年寄りの藍液に染めた糸。

下の写真が最も若い一番新しい藍液だ↓↓

一番新しい若い藍液。

一番新しい若い藍液で染めると

剣道着の色、濃紺に染まる。

まとめるとこうだ。

[ お年寄りの藍液 ]→ 活性が弱い =明るい色

[ 新しい若い藍液 ]→ 活性が強い = 濃紺

天然藍の中にいる微生物の活性で発酵が起こり

発酵によって染めることが可能になる。

気温の変化、藍液の年齢によって

微生物の活性の強弱が生まれる。

それが色の違いを生み出すのだ。

藍玉。これに水や石灰を入れて藍液を作る。

つまり、

天然藍を使い続けるということは、

生きものを育てるように藍を観察し、

活性の強弱を自分達の手で大切に管理し続けなければならない。

365日、藍と五感で向き合わなければ、

天然藍”にこだわることは出来ないのだ。

大変なのは明らかである。

合成藍を使う方が効率はいいかもしれない。

でも、天然藍を使うしか、藍の色以外の魅力を伝える方法はない。

藍を育てている、この表現がぴったりですね

色だけではない藍の魅力があるんです

5代目の野川雄気さんが言った言葉だ。

この表現を口にしたときの柔らかい優しい表情の奥には、「天然藍を使う」という、

絶対に譲れないこだわりが滲み出ていた。

理由②

「使いこんだときに他にはない美しさがある」

染める前の糸。このまっ白な糸を染めていく。

藍染、そう聞くと多くの人が布を藍液につけて色をつけるものとイメージするだろう。

恥ずかしながら自分もそう思っていた。

武州正藍染は違う。

武州正藍染の定義をもう一度整理すると、

天然の植物の藍を原料に使い糸を染めて生地に織っていく工程を有しているもの】

武州正藍染は先染め(糸を先に染める

ここに特徴がある。

織る前に糸を藍で染め(=先染め)、染めた糸を織っていくのだ。

職人さんが先染めをしている実際の映像がこちら!!!

糸を染める(=先染め)の様子

野川染織工業では先染めを以下の手順で行う。

①1番お年寄りの藍、つまり最も明るい藍液で染める。

②隣の少し若い藍液の甕に移動し染める。

③隣の少し若い藍液の甕に移動し染める。

④何度も何度も繰り返す。

1番明るい色で染めはじめ、少しずつ少しずつ濃い藍液で染めていく。

先染めをして乾かした後の糸。濃紺!

1つ1つ色を重ねるように染めて、

最後に最も色が濃い1番若い藍液に染めていくのだ。

この丁寧な作業のおかげで

まるで人が年齢を重ねていくように、

1つ1つ、少しずつ少しずつ、

糸が濃くなっていくのだ!

美しさの秘密は先染めにあり!

野川染織工業の先染めは最初に1番明るい色で染めて、少しずつ少しずつ濃紺にしていく

でも疑問が浮かぶ。

なぜ最初から一番濃い色で染めないのか。

「結局最後、濃紺になるなら最初から一番若い藍液で染めればいいじゃん!」

正直そう思った。

この作業の必要性が分かるのはすぐじゃない。何年後、何十年後なんです

野川雄気さんは言った。

聞いた時、正直よくわからなかった。

説明を聞くとその意味は、

色の変化にあった。

明るい色から順番に少しずつ少しずつ最後の濃紺に仕上げる。

この作業があるから野川染織工業で作られた藍染のものは、

色が変化しても、何年たっても、何十年たっても、その瞬間その瞬間で美しい。藍染の経年変化をずっとずっと楽しめるのだ。

いきなり濃紺で染めてしまったらそのような美しい経年変化を楽しむことは当然できない。

先染めへの強い思いと丁寧な作業があるからこそ生まれる、

野川染織工業にしか生み出せない武州正藍染の魅力である。

まとめ

今回は野川染織工業の1つ目の魅力、

武州正藍染へのこだわり

について書いた。

天然藍で先染めを行なっているのは、野川染織工業のみ。

この事実が伝統ある武州正藍染への強いこだわりを示している。

昔と変わらない武州正藍染を貫き続ける野川染織工業にしか生み出せない

武州正藍染の魅力が多くの人に届いて欲しい。

野川染織工業の

魅力②糸染めから織り、縫製までを自社で完結

魅力③日常生活と武州正藍染を結びつけている

この2つの魅力については次の

「武州正藍染ここにあり!」野川染織工業に迫る。vol.2、Vol.3 

にて発信する。

お楽しみに!!

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この記事を書いた人

足袋の町、埼玉県行田市で生まれ育つ。
海外から帰国後、日本のものづくりに心を奪われ続ける。
歴史や背景などのストーリーがあるもの、作っている人の思いが詰まっているもの、こだわりで溢れているものに心が熱くなる。
服、旅行も好き。そして人の笑顔も好き!!

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